ねこの里のはなし

ねこの森で暮らしているお客さんは、
ねこの作ったおにぎりが大好きなようです。


ねこはおにぎりとシチューを毎日たくさん作って森に運びます。
お客さんはねこのおにぎりをおいしいおいしいと食べています。


ねこはある日、ふと思いました。


お客さんがもっとたくさん来てもいいように
おにぎりの素をもっと用意しなきゃ。
お客さん、おにぎりおいしいって言ってくれるから僕うれしいな。


ねこはおにぎりの素がたくさん取れる場所を見つけました。
ねこはそこを銀行と名付けました。


おにぎりの素がたくさんたくさんとれるから
この場所の名前は銀行にしよう。
ちょっと銀行にいっておにぎりの素を下ろしてくるよ
なんて言っちゃったりするようになるのかな。
僕かっこいいな。


などと、うきうきしながら畑を耕していました。


すると銀行の畑にどこかで見たことがある大きな人が
畑を耕すのに必要な木や粘土などを運んできてくれました。
ねこの森で暮らしている人に頼まれたそうです。


ねこは丁寧にお礼を言って、大きな人におにぎりを渡し
木や粘土などを雨に濡れないように倉庫にしまいました。


夜になって、ねこが銀行で寝ているとざわざわと人の話し声や
がたがたと何かを動かす音がしていました。
しかし、ねこは昼間の農作業で疲れきっていましたので
すぐにまた眠りにおちてしまいました。


ねこが朝目を覚ますと、木や粘土などが倉庫の外にあふれています。
鉄は夜露に濡れてしまっています。
大事なおにぎりの素も穀倉からあふれてこぼれています。


倉庫からあふれているものは使うことができません。
穀倉からこぼれているものは鳥がつついています。


ねこはしょんぼりしながら畑を耕しに向かいました。


おわり